Logo東京大学 生産技術研究所 次世代モビリティ研究センター(ITSセンター)Advanced Mobility Research Center (ITS Center), Institute of Industrial Science, The University of Tokyo

News Report 2012

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Int'l Symposium on ITS Research 2012 in Kuala Lumpur

先進モビリティ研究センター(ITSセンター)と Institution of Engineers, Malaysia (IEM) 主催の国際シンポジウムが、4月14日(土)にマレーシア・クアラルンプールの Hotel Armada Petaling Jaya にて開催されました。 2008年からITS Asia-Pacific Forum のSpecial Academic Program として開催しており、今年はシンガポール、バンコク、台北に続いて4回目となります。

講演者には、日本、マレーシア、台湾、オーストラリアの4か国14名の専門家をお迎えしました。 シンポジウムは分野ごとに「ITS Innovation」「Traffic Management」「Vehicle Control & Image Processing」「Sustainability」の4部構成で行われました。 聴衆のほとんどはマレーシア現地のITS関連専門家・エンジニアでしたが、各国、特に日本のITSに関する最新研究動向については熱い興味を示すなど、本シンポジウムは大盛況で終わりました。

池内克史教授 紫綬褒章受章

平成24年春の褒章において池内克史教授が紫綬褒章を受章されました。

池内教授は人間の視覚機能を計算機上に構築するコンピュータビジョン分野の権威であり、特に画像の生成プロセスを物理学に基づいてモデル化し、この逆モデルを用いてビジョン問題を解く Physics-Based Vision 分野の先駆的研究者の一人です。 2次元画像中の陰影やハイライトから3次元データを生成する手法や、物体表面の反射特性を精密にモデル化する研究に取り組み、実物体を計算機の中に3次元 モデルとして取り込むModeling from Realityと呼ばれる分野を確立しました。 近年では、これらの技術を発展させ、有形・無形文化財のデジタルアーカイブ化や、解析、展示を目的とした学際的研究分野である e-Heritage を立ち上げ、鎌倉、奈良大仏、アンコール遺跡群バイヨン寺院の3次元モデル化や、会津磐梯山など日本の伝統舞踊を踊る人間行動観察学習ロボットを開発し、考古、芸術、建築学といった様々な分野の研究者とも連携してこの分野の発展に尽力されました。

また、現ITSセンターの前身である先進モビリティ連携研究センターを設立し、センター長を務めるとともにITS分野の発展にも大きく貢献されました。

このたびの池内教授の受章をお喜び申し上げるとともに、今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。

生研公開 ~駒場リサーチキャンパス公開2012~

6月1日(金)~2日(土)の2日間、東京大学生産技術研究所オープンキャンパス(生研公開)が開催されました。 生研公開は本所の高い研究成果や活発な活動内容を所外の方々に公開し、特に民間企業にとっては新たなビジネスチャンスにもつながる機会であり、社会に貢献する重要な年次行事の一つです。

本センターでは各所属研究室での展示のほか、1階共有空間(ピロティ)において3台の計測実験用車両および研究紹介ポスター展示、D棟地下・CCR棟地下ではドライビングシミュレータを公開しました。 また今年度は、トラックドライビングシミュレータ、及び移動型複合現実感(MR)システムを初めて公開しました。

「ITS セミナー in 松山 ~次世代のモビリティ確保に向けて~」

 6月11日(月)、愛媛大学城北キャンパス南加記念ホールにて東京大学ITSセミナー シリーズ17「ITSセミナー in 松山~次世代のモビリティ確保に向けて~」を開催しまし た。当センターでは、研究成果の社会還元、地域のニーズに即したITSの普及促進、地 域の人材育成・交流を目的としたセミナーを地域のご協力のもと主催しており、愛媛大 学工学部との共催で開催された本セミナーには産官学から約250名の方々が出席し ました。第1部では当センターの研究報告が行われ、第2・3部では「安全安心を担保す る持続可能な道路ネットワーク」、「高齢化社会に向けたITS技術」と題し、四国および 愛媛県における交通問題・ITSの取組などについて発表が行われました。「高齢化社 会におけるITSへの期待」と題してパネルディスカッションが行われた第4部では、災害 時の交通、救命救急、高齢ドライバーに関する活発な議論が行われました。特に、第3・ 4 部では既存のITS分野を超えた医学分野の観点からの議論が行われ、そもそも学際 的研究分野であるITSへの聴衆の高い関心が寄せられるなど、本セミナーは大盛況の うちに終了しました。

柏推進協議会における活動

千葉県柏市は、平成21年に社会還元加速プロジェクト「情報通信技術を用いた安全で効率的な道路交通システムの実現」で、青森市、横浜市、豊田市とともに「ITS実証実験モデル都市」に選ばれました。平成25年度末までの期間で、地域ごとの課題解決に向けた様々な実験に取り組んでいます。

同市は都心から約30kmに位置するベッドタウンで、国道6号と16号が中心部で交差する交通の要衝です。中心市街地は商圏人口230万人を持つ一方で、慢性的な交通渋滞が課題となっているほか、全世帯の約85%が単身世帯・核家族世帯であり、全国平均よりも早いスピードで少子高齢化が進んでいるなど、新たな問題を抱えています。

ICT等を活用したこのような課題の解決に向けて、池内教授を会長とする「柏ITS推進協議会」が平成22年2月に発足し、自治体・民間企業・商業関係者と協同で6つの部会活動を鋭意推進しています。平成23年4月からは、当センターと柏市との共同研究がスタートし、石名坂氏と佐々木氏の2名が共同研究員としてITSの研究を進めています。また、平成23年12月には、内閣府が指定した全国11の「環境未来都市」ならびに全国22の「地域活性化総合特区」の一つにも選定され、ITSの更なる導入気運が高まっています。

この柏ITS推進協議会の平成24年度総会が7月11日に東京大学柏キャンパス・メディアホールにおいて開催され(参加団体:36、参加者63名)、各部会の今年度事業計画が過半数承認を受けました。

続いて開催されたシンポジウムでは、秋山浩保柏市長も参加のもと、各部会長より2013年ITS世界会議・東京を見据えた今年度事業計画に関する話題提供がありました。

東北復興プロジェクトを始動

平成24年度より、東京大学先進モビリティ研究センター(ITSセンター)と、東北大学未来科学技術共同研究センター(NICHe)の共同研究として、東北地域復興のためのエネルギーとモビリティ技術に関する取組みを開始しました。

これは、文部科学省・復興庁による「東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクト」の開始に伴い、両センターが同事業の課題の一つである「再生可能エネルギーを中心とし、人・車等のモビリティ(移動体)の視点を加えた都市の総合的なエネルギー管理システムの構築のための研究開発」を受託したものです。

本課題では、災害に強く地域の持続ある発展を支えるエネルギー・モビリティを統合するマネジメントシステムの研究開発を目的とし、情報収集、データベースシステム、情報統合化処理、情報提供と交通モード選択などドライバも含めた人間行動のモデル化、エネルギー・モビリティ関係のモデル化などを進めています。またこれを平時と緊急時の両方において社会的な効果を発揮するものとして、実社会における運用の実現を目指しています。

ITS世界会議 in ウィーン

2012年10月22日~26日の間、オーストリアのウィーンにおいてITS世界会議が開催され、当センターからも多数の発表を行いました。今回の世界会議では、今年度で集大成となるエネルギーITSプロジェクトに関連して、CO2削減の効果評価、および自動運転・隊列走行に関する特別セッションを設置し、桑原兼任教授、須田教授らによる司会・発表を通じて研究成果の発信・議論を行いました。また展示場では、次回のITS世界会議が東京で開催されることから、ITSJapan、柏市、長崎県らと共に広報活動を行いました。

千葉実験所公開2012にてITSセンターの取り組みを紹介

2012年11月9日に東京大学生産技術研究所千葉実験所公開が開催されました。センター長でもある須田教授の研究室では、鉄道駅における可動式ホーム柵(通称:「どこでも柵」)を発表し、各報道メディアにより紹介されました。また、実機展示として恒例のITS実験用交通信号機のデモや、省エネ型都市交通システム「エコライド」の試乗会を行ったほか、昨年同様、東日本大震災の様子を撮影した計測車の展示とその際の映像も公開しました。そのほか、今年度に始動した東北復興プロジェクトをはじめとした当センターの取り組みについてもパネルにより紹介しました。

ITSセミナー in 群馬、奈良

地域の協力のもと主催する「東京大学ITSセミナーシリーズ」が、2012年度は3カ所で開催され、前身センター時代から通算して19回を数えました。

同年8月には群馬県桐生市で「ITSセミナーin群馬 ~次世代モビリティの今後の動向と地域ITS~」が開催されました。当センターの活動紹介、群馬大と富士重工(株)による自動車産業や地域産業に関する取り組みの紹介があり、続いて次世代モビリティの動向と地域ITSに関してパネル形式で討論がなされました。

11月には「ITSセミナーin奈良 ~観光とITS~」が2日間で開催されました。初日には当センターのほか、奈良県、明日香村、奈良女子大、奈良交通(株)、泉陽興業(株)による地域の未来像や観光振興に関する発表・討議を行いました。翌日には現地見学会として、当センターの池内研究室・大石研究室が中心となって明日香村で開催中の「バーチャル飛鳥京一般公開実験」にご参加頂きました。コンピュータで復元した飛鳥時代の映像をゴーグルを通じて現在の風景に重ね合わせることで往時の様子や大化の改新などの出来事を体験するもので、移動体と映像技術を組み合わせた新しい観光振興の可能性に触れて頂きました。

ITSシンポジウム2012報告

2012年12月13、14日、第11回ITSシンポジウムが愛知県立大学にて開催され、当センターからも発表を行いました。

「しなやかなユニバーサル社会をつくるITS」をテーマとした今回は約280の参加者が集まり、ITS関連の最新情報・技術に関する幅広い討論が行われました。企画セッション「エネルギーITSでは当センターも 中心的な役割を果たしたNEDOエネルギーITS事業のプロジェクトの総括が行われ、「モビリティデバイド・高齢者支援ITS」では長崎・五島や東北復興プロジェクトにおける地域交通・エネルギーに関する議論などがありました。対話セッションでは当センターからも32件の発表を行い、小野特任助教、池内教授らによる「自車位置推定のための複数車載カメラ映像の効率的な時空間マッチング手法」が優秀論文賞に選ばれました。2013年にはITS世界会議(東京)のため、同シンポジウムは開催されず、第12回ITSシンポジウムは2014年に東北大学で開催される予定です。

長崎EV&ITSコンソーシアム総会、EV・PHVタウンシンポ開催 ~五島~

平成25年2月7日、8日の両日にわたり、長崎県五島市において平成24年度長崎EV&ITS(エビッツ) コンソーシアム総会と、併せて経済産業省、(財)次世代自動車振興センター主催によるEV・PHVタウン シンポジウムin長崎五島が開催されました。

長崎EV&ITSコンソーシアム総会においては、今年度の各WGにおける検討報告や現状報告に続き、平 成25年度で終了を迎える長崎EV&ITSプロジェクトに続く次期戦略について、超小型モビリティ実証を軸 に検討を行っている旨の報告がなされました。

続いてのEV・PHVタウンシンポジウムは、「EV・PHVを取り巻く世界の最新動向と先進事例」なる副題 を掲げ、川嶋弘尚・慶大名誉教授による基調講演に始まり、当センター客員准教授である鈴木高宏・長崎 県政策監、連携メンバーである井上悟志・経済産業省ITS推進室長による講演がありました。この他に も中国・韓国・欧州から識者を招いての特別講演も含め、初の地方・離島開催となった同シンポジウムはかつてない国際色豊かな会議となりました。2月8日午前には未来型ドライブ観光、災害対応型地域マイク ログリッドモデル、浮体式洋上風車、超小型モビリティ・燃料電池自動車などの展示・試乗など、様々な見学・体験を盛り込み、両日延べ600名近くの参加を得る盛況となり、EV・ITSによる地域活性化の試みが大 きな手応えを得られた結果となりました。

末筆ながら、愛知県から改造EVを持ち込み本企画の盛り上げに一役買った、当センター特別研究会会 員としても熱心に活動されているイーブイ愛知様のご参加についても特筆しておきたいと思います。

エネルギーITSプロジェクト

2008年度から新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より受託したエネルギーITSプロジェクトが、2012年度で最終年度を迎えました。 このプロジェクトでは、低燃費を実現する「大型トラックの自動運転・隊列走行」の研究開発と、「国際的に信頼される効果評価方法の確立」の2つを柱とし、それぞれ当センターの須田センター長と桑原兼任教授がサブリーダーを務めました。

「大型トラックの自動運転・隊列走行」では、複数の大型トラックの車間距離を縮めることによって空気抵抗を低減させ、幹線物流の効率化と省エネルギー化を実現することを目標として、日本自動車研究所、産業総合技術研究所をはじめ、国内の大学・研究機関および自動車・ITS技術関連メーカーが共同で隊列走行システムの開発に取り組んできました。当センターでは、隊列走行用ブレーキの開発、隊列形成のための操作の容易性およびインターフェースの評価、システム異常時に可能なドライバの危険回避行動調査、ドライビングシミュレータを活用した隊列走行時のヒューマンファクタの解析、画像認識によるトンネル内における位置同定技術の開発、長距離専用道を利用した長期センサ評価実験などを行いました。

最終年度には、当初の目標通り、3台の大型トラックの後ろに1台の小型トラックという計4台のトラックによる車間距離4mの自動運転・隊列走行技術が完成し、燃料低減効果が確認されました。2013年2月26日から4日間にわたって産業技術総合研究所つくば北サイトにおいて開催された「Energy ITS 自動運転隊列走行 Demo. 2013 in つくば」においては、車間距離4mの自動運転・隊列走行デモンストレーションを行い、自動車メーカーや物流事業者をはじめ多くの参加者から好評を頂きました。

「国際的に信頼される効果評価方法の確立」では、様々なITS技術による道路交通からのCO2排出量削減の効果評価手法を日欧米で共同開発し、国際共同技術レポートを世界に向けて発信しました。この共同技術レポートでは、ミクロからメソスケールまでの交通シミュレーションを利用したCO2排出量評価手法を提案し、当センターは他研究機関等と共同で、メソスケールでのCO2排出量推定手法、ミクロ・メソスケールの関連モデルの検証手法の研究・開発に取り組みました。また、CO2排出量推定モデルの検証に用いることのできる国際交通データベース「ITDb(International Traffic Dtabase)」を開発・公開し、世界各国の貴重なデータを共有する仕組みを確立しました。

今後は本プロジェクトで開発された技術・評価手法を基に、CACC(Cooperative Adaptive Cruise Control)技術を応用した省エネ運転や、センサ技術・制御技術を応用したドライバ支援システムへの活用、CO2排出量を削減するITS政策の推進など、短期から長期的なものまで様々なフェーズでの展開が期待されています。

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