研究活動・設備

総覧

各研究室ではITSに関わる基礎・応用研究を実施しています。これら関する更に専門的な情報は、各研究室のページ、論文発表、「生産研究」などをご覧ください。

以下では、特に分野横断的要素の強い研究活動や設備を抜粋して紹介します。

自動運転・隊列走行、先進安全自動車

自動運転写真

自動運転の技術研究・社会科学的研究や、実証実験などを手がけています。

  • 車両の運動制御: 自動運転トラックの隊列走行、自動運転バスの正着制御、信号交差点の通過制御など
  • ヒューマン・マシン・インタフェース(HMI): 安全な走行を実現するため隊列走行する自動運転トラックが周囲の手動運転車などに対して自動運転で隊列走行していることを情報発信する方法など
  • センシング技術: 車載カメラによる手信号やカーブミラーなどの認識
  • 社会科学: 法制度、政策、経済、都市デザインなどの多様な観点にもとづいた、自動運転の社会受容性、社会に与える影響の分析、ビジネスモデル、エコシステムについての検討

自動運転・運転支援の基盤となる研究開発には発足時から取り組んでおり、2008年に開始した大型トラック隊列走行に関する研究開発(走行制御、環境認識、ドライバ受容性など)ではトラック4台で80km/h、車間4mの隊列走行を実現しました。 2013年には、760MHz帯の双方向車車間通信を用いて、世界で初めて自動車と路面電車間で、走行情報などの共有による安全運転支援の公道実証実験を広島地区で行いました。

2014年には、隊列走行の成果を基に学内発ベンチャー企業(先進モビリティ株式会社)の設立にも貢献し、現在も共同研究などを行っています。2019年からは、柏ITS推進協議会のもとで実施されているレベル2自動走行機能を有する自動運転バスを用いた柏の葉地区での長期営業運行実証実験に参加しています。実環境下で自動走行を長期間継続することで、自動運転が普及した際に想定される課題の早期発見や、机上での検討では明らかにならなかった点の発見が期待されます。今後の運転手による操作を不要とするレベル4自動運転にむけては、実環境で得られた知見やデータの活用が期待されます。

安全・持続可能な交通社会の実現に向けた「協調ITS」の提言

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ITSとは、何でしょうか?

初期(1990年代)と現代では、時代背景も大きく変わりました。今日のITSは、改めて再定義できるものと言えます。

この新義のITSについて取りまとめ、提言書として公開しました。

地域連携・社会実装 ― 柏ITSスマートシティ

柏ITSスマートシティは、さまざまな移動・ 交通情報を収集~蓄積~加工し、市民にとって身近な生活情報として可視化し、一人ひとりの気づきを高め、より良い行動を促していく「ヒトとマチと、ともに 成長するITS」を目指し、地域や市民と一体となった取り組みが、環境への負荷を減らし、渋滞を緩和し、地域経済の活性を促していくことを目標としています。その一環として、内閣府のITS実証実験モデル都市に選定された千葉県柏市の交通まちづくり推進・支援を目的として、2009年に柏ITS推進協議会が設立されました。現在は、ITS技術の社会実装による地域の交通課題解決に向け活動を再編し、5つの部会を設置し活動を行っています。情報利活用/公共交通/中心市街地活性化部会では、プローブ、ドライブレコーダ、MMSなどの情報を収集・統合して地域の交通状況・CO2排出状況や道路空間特性、円滑性指標、事故リスク指標などを可視化し、理解しやすく提示することで、地域行政における適切な交通施策の推進や、市民の意識向上・行動変容に役立てる仕組みを構築しています。また、2019年5月には柏ITS推進協議会がメンバーとして参加している柏の葉スマートシティコンソーシアムによる提案が国土交通省スマートシティモデル事業に採択され、モビリティの面から一層の貢献を行っています。

防災・減災・復興支援

ITS分野においても東日本大震災から学んだ教訓は多く、平常時・非常時におけるデュアルユースを考慮した情報提供や省エネルギー、インフラ管理などは極めて重要な課題と認識されました。

当センターでも2012年より東北大学未来科学技術共同研究センターと共同で、石巻市などと連携して、電気自動車の移動・充電とクリーンエネルギー電力の供給に関する偏在を考慮したエネルギーモビリティマネジメントや、非常時・電欠時の情報提供に関する研究を行いました。

また、車載カメラによる沿岸各地の被災・復興状況の定期記録や、大槌町役場旧庁舎の3Dデジタルアーカイブ、複合現実感技術による被災前の街並復元などにも取り組みました。

次世代モビリティ研究設備/ITS R&R 実験フィールド

柏フィールド写真

柏キャンパスの北側に広がるITS R&R 実験フィールド(鉄道試験線、走行試験走路、交通信号機、踏切)や、大型車用ドライビングシミュレータ等は、大学ではあまり見られない実スケールの実験が可能な研究設備です。 自動運転・運転支援や、車両・レール系の摩擦・接触、交通制御をはじめとした様々な実スケールの先進的な実験に活用され、共同研究等を通じて外部の企業・機関にも多く利用されています。