ITSセンター概要
当センターは、日本で初めて、土木・交通工学、機械・制御工学、情報・通信工学などの各分野が同時横断的に連携してITSの研究開発を行う大学研究組織です。
自動運転、協調型システム、交通制御、データ連携や電動化技術など、先進的なモビリティに関する技術・システムの「ハーモニー(調和)」を促進し、持続可能な未来社会の実現を目指しています。多様な交通手段やインフラ、技術を統合させるだけでなく、データ活用やAI、社会的・倫理的視点の考慮など、幅広い学術分野が融合する革新的研究を推進することによって、次世代のモビリティ社会を先導します。
センター長より
東京大学生産技術研究所では、「先進モビリティ研究センター(ITSセンター)」を2009年4月に発足させ、5年間の活動を行いました。この間、国家プロジェクトや産官学連携プロジェクトを推進するとともに、社会人のためのITS専門講座やITSセミナーなどの社会還元活動など多くの成果を挙げました。本センターは、2014年に「次世代モビリティ研究センター(ITSセンター)」へと移行し、さらに2019年には構成員の一部見直しを図って体制を強化するとともに、自動運転による次世代交通システム研究、ビッグデータ時代におけるモビリティ社会のデザイン研究、道路交通のみならず鉄道など公共交通も含めた総合的なモビリティデザインを推進してきました。
さらに、これらの活動を進化・拡大するために、2018年7月には生産技術研究所を中心とした学内の3部局により「モビリティ・イノベーション連携研究機構(UTmobI)」を発足させ、2019年7月にはこれを8部局に拡大して、文理融合で総合的にモビリティ・イノベーションに資する知の体系化に取り組んでいます。
このような中、当センターは、2025年4月に構成員を拡充して「ハーモニック・モビリティ研究センター(ITSセンター)」へと移行しました。ハーモニック・モビリティ研究センターでは、これまでのモビリティ研究開発の成果を社会全体に調和させ、持続可能な未来社会を実現するため、4つの「調和」をテーマに掲げています。
- 技術との調和:自動運転や鉄道、信号制御システムなどのモビリティ技術を融合し、効率化と最適化を追求する。
- 人との調和:ヒューマン・フレンドリーなインターフェースや歩行者の安全も勘案された街づくり論などのインタラクションデザインを目指す。
- 社会との調和:倫理的・法的・社会的視点(ELSI)を取り入れ、社会的な受容性に配慮したモビリティ技術の研究を推進し、文理融合型のアプローチも取り入れる。
- 環境との調和:カーボン・ニュートラル達成に向けたエネルギー・マネジメント技術や、低炭素社会の実現に貢献するモビリティ・システムの開発を行い、環境と経済の両面で持続可能な都市開発を推進することを目指す。
これらの研究開発・社会実装においては、これまで通り、関連省庁・自治体との緊密な連携の下、関連周辺分野および異分野の研究者との交流や、国内外の大学・研究機関との連携を積極的に推進しています。また、分野横断、産官学民融合、地域連携といったセンターの活動の特色を生かした多くの産官学連携プロジェクトを推進するとともに、社会還元活動などを引き続き実施しています。

中野 公彦 教授1972年生まれ。2000年東京大学大学院修了、博士(工学)。山口大学助手、講師、助教授を経て、2006年より当研究所助教授(2010~准教授)、2018年より教授。現在、ハーモニック・モビリティ研究センター長。

沿革
2003. 4 | 当時の東京大学国際・産学共同研究センター(CCR)にて産学官連携プロジェクト「サスティナブルITS」(後に「サスティナブルITSの展開」)が発足 |
2003. 8 | 特別研究会「ITSに関する研究懇談会」を開始 |
2004. 9 | 第1回「社会人のためのITS専門講座」を開催 |
2005. 3 | 生産技術研究所に 先進モビリティ連携研究センター* を設立 |
2006. 11 | 「東京大学ITSセミナーシリーズ(1)」を高知市にて開催 |
2008. 3 | CCRが発展的解消,ITS関連の研究プロジェクトを生産技術研究所へ移管 |
2009. 4 | 先進モビリティ研究センター* に移行(生産技術研究所の附属研究施設として認定) |
2014. 4 | 次世代モビリティ研究センター* に移行 |
2018. 7 | 当センターを中心として、生産技術研究所を含む学内3部局(当時)による 東京大学モビリティ・イノベーション連携研究機構 (UTmobI) を発足 (機構長:須田義大教授) |
2025. 4 |
ハーモニック・モビリティ研究センター* に移行 |
* 略称はいずれも「ITSセンター」です。
これまでのセンター長
2005. 3 – 池内克史 教授
2009. 4 – 桑原雅夫 教授
2010. 4 – 須田義大 教授
2018. 4 – 大口敬 教授
2025. 4 – 中野公彦 教授